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11/1

 火曜日だが、新しい月が始まった。映画の日だが、特に行く余裕はない。「聲の形」を見たいと思ったのだが。

 色々と不都合が多くて仕事が全く進まなかった。作業場にしようと思っていた図書館が休みだった。ドトールに入ると入り口手前の席に座った。別に座りたかったわけではないが、そこしかちょうどいい席があいていなかった。コーヒーを頼んで座ると、モバイルバッテリーを忘れたことに気づく。この店の公衆wifiは効きが悪いので自前のルーターを使おうと思うと、これが残り10%。しぶしぶ使ったが、当たり前のようにあっという間に電池残量が無くなってしまう。おまけにイヤホンが無いから通話をしながらの仕事などができない。仕事にならない。くだらないウェブサーフィンや、趣味のWorkFlowyに時間を費やしてしまう。ものがなさすぎるのがいやになって店を出た。家に帰ってくると子どもが泣いていた、んだったかな。もう忘れてしまった。妻が着替えをしていた気がする。いよいよ骨盤ベルトを締めようとしていたのだったか。

 出産祝いをくれた取引先にお礼をあげようと、候補の和菓子屋であんこのお菓子と羊羹を買う。消費期限が明日いっぱい。生菓子ってすげえな。明日持っていくなら明日買った方がいいなと思い、自分たちの分として買ってみた。それを妻と二人で食べた。美味しかった。特に新芋の羊羹が美味しかった。本当はあんこのお菓子だけのつもりだったのだが、思わぬ収穫だった。ほうじ茶をいれてもらった。妻に何かしてもらうのは10ヶ月ぶりな気がする。いや、さすがにもうちょっと何かしてもらったか。それくらい長いつらい妊娠生活だったように思う。

 妻も帰ってきたので試験的に自炊を検討し始める。だが私は働いているし妻は疲れ切っているから、完全自炊が難しい。とりあえず惣菜を買って帰ると、妻が自主的に米を炊いていてくれた。1日3食2人で1000円に収まるようなプランを取れればよいのだが。

 何の惣菜を買ったらいいかLINEで電話したところ妻の声が妙に暗い。どうしたか問い詰めると、何やら乳首に血玉ができたらしい。血豆だの血疱だのと言われる現象で、調べてみるとどうも妊婦にはよくあることのようだった。妻はひどく落ち込んでいた。痛いらしいし、何らかの病気だったらどうしようと悩んでいた。だが一人では病院に行くことも難しいし、そもそも近くに病院があるのかどうかもまだ分からない。あと吸われると痛い。血ごと乳飲み子に吸わせてよいのかという不安も強かった。慰めたが、この出来事のショックで張り詰めていた糸が切れたのか、一気に彼女は無気力になってしまった。ひどくかわいそうだ。慰めもあまり効果がなかった。米を焚くのが嫌だといった。タッパーに入れて冷蔵庫に入れるのがめんどうくさいと。ご飯というものを食べることそれ自体がうざったいと。他のことはするからと詰めるだけ詰めてもらい食器は洗った。子どもを預かり先に寝かせた。

 まだ一ヶ月の子どもに「夜驚症」というのは当てはまるのだろうか。とにかく理由のないタイプに激しい泣き方をするように見えることが多々ある。おしゃぶりをうまくかませると落ち着くので僕は慣れている。それから、子どもの面倒を見るときは僕はもっぱら耳栓をしている。そうするとうるさくなくなるから、余裕を持って子どもを預かることができるのだ。逆に耳栓をしていないと本当にひどい泣き方で、一緒に寝ているとさすがにつらいと思うことがある。妻は大丈夫だといっているが、何らかの方法でストレスを予防できればよいと私は思っている。真面目であるほど育児に追い込まれてしまう。妻の愛読書の『ぢごぷり』の登場人物の若い産婦も、育児なんててきとーです、と言っていた。

 もっとお乳を飲みたいと思っているのかもしれないが、うちの子はよくそれを吐いてしまう。他の子と較べて多いのか少ないのかも分からない。多いということは多分無いだろうが、少ないとは限らない。だから好きなだけ飲ませてやるのはなかなか難しい。その上、最初の一ヶ月はたんまりと飲んだせいか太り気味だった。一日70グラムの勢いで体重増加し、その後も50グラムずつ増えていた。成長曲線の最上位を走っている。さすがに見た目にお太り遊ばしている。子どもなんてこんなものなのだろうか。吐かなければそれはそれでよいのだが。ゲップをさせるのにも繊細さが必要になってくる。そんなこんなで日が変わった。寝かせた。